馬見塚デンタルクリニック

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インプラント治療について

インプラント手術の流れ

インプラント手術の流れ

治療を始める前には、必ず治療計画などの準備が必要になります。レントゲンやCT撮影の結果をもとに、インプラント治療をすることが可能かどうか、最も有効な方法かどうか、そのほかの治療法の可能性について診断します。インプラント治療も他の歯科治療と同様、あくまでも治療の中の選択肢のひとつにすぎません。インプラント治療も100%万能な治療法ではありません。その治療法のメリットとデメリットの両方を理解することが不可欠です。そして、最終的には患者様ご自身で治療法を選択していくことからスタートします。

インプラント手術が可能な場合には、どの場所にインプラント体を埋入するのか事前に十分な診査を行います。CTのデータを利用し、コンピューターを使ってあらゆる角度から診査や治療計画を立てます。全身疾患やアレルギーなどがある方は、場合によっては病院を受診していただき、インプラント手術を行う上で問題がないかなどを確認します。これはインプラント治療に限らず、通常の歯科診療を受ける上でも大切なことです。その後、抜歯、虫歯や歯周病の治療など、インプラント手術を始める前に必要な処置を行い、手術の時期を決定します。


インプラント治療が出来るかどうかの判断

インプラント治療における禁忌症について

禁忌症とは、インプラント治療が行えない場合のことをいいます。文献を見ると、高血圧症、糖尿病、心臓疾患、喘息、そして血友病や急性白血病などのように出血しやすい疾患などが挙げられていますが、これらの病気の方の全てが、絶対にインプラント治療を行うことができないというわけではありません。治療を行うことで期待される成果とリスクを、治療を受ける患者さんと全身疾患を担当する医師と歯科治療を行う歯科医師が、他の治療法と比較、検討して決めていきます。

例えば、糖尿病の方は、きちんと医科を受診し、HbA1-c(過去1ヵ月の平均的な血糖値)のコントロールができていないと、免疫力が低下し、感染しやすくなる場合があります。医科の担当医と直接連絡をとらせて頂き、HbA1-cの数値によっては手術を見送る場合もあります。逆にきちんとコントロールできていれば、全く問題なく手術を行うことができます。インプラント治療だけでなく、その他の治療にも利益と不利益が必ずありますので、その両方をよく理解し、治療を選択していく必要があります。


インプラント治療における適応症について

禁忌症と反対の意味である『適応症』についてです。適応とは「ある環境、その他の条件にそのものの調子がうまくあうこと」をいいます。(日常使う言葉で、適応能力という言葉も同じ意味です。)適応症のなかにも、絶対的適応症と相対的適応症の2つがあります。インプラント治療におけるこの2つの言葉の説明について、例をあげてご説明します。

絶対的適応症:

インプラント治療ができる全ての条件(骨の状態、健康状態、経済面、患者さんの精神面など)が揃っている、かつ他に治療法がない症例。つまりインプラント治療を拒む理由が1つもない症例。

相対的適応症:

インプラント治療の他にもいくつか治療方法があり、他と比較させて、治療法を選択する症例。

例えば、インプラント治療が可能な全ての条件をクリアしていても、患者さんご自身の希望が他の方法だとしたのならば、これは絶対的適応症ではありません。また、患者さんはインプラント治療を希望していても、お身体に病気があり、担当医師に手術はできませんと止められたら、もちろん手術はできません。

私たちの説明が患者さんに伝わっていない、または説明していなければ、正しい情報を患者さんは得られません。たとえインプラント治療の絶対的適応症にあてはまる患者さんがいたとしても、またインプラント治療が最善だとしても、患者さんはインプラント治療を知らずに他の方法を選択するでしょう。インプラント治療に関してだけでなく、私たち医療従事者は、患者さんがちゃんと選択できるように正しい情報を与え、かつアドバイスをすることができなくてはなりません。そして患者さんは、その治療を受けることの利益と不利益を考えて、治療方法を選択すべきなのです。選択をする時は、利益にばかり目がいきがちで、情報を出す側もその利点ばかりを強調しすぎている節があります。もちろん得られる利益も大切ですが、そのために引き起こされる可能性のある不利益にも注目すべきではないでしょうか。この不利益なら自分は受け入れられると思う治療を選択することで、後悔することは少なくなると思います。


既応歴について

既往歴とは過去にかかっている疾患の経過のことをいいます。分かりやすく言うと、現在かかっている病気と過去にかかったことのある病気の症状や経過、治療内容、服用している薬などのことをいいます。私たちは、初診でお見えになった患者さんに、必ずこの既往歴についてお伺いします。ではなぜ、そのようなことを患者さんにお聞きしなければならないのでしょうか。

実は、虫歯の治療のような一般的な歯科治療自体が、直接お身体に負担をかけることは少ないのです。しかし、治療に対する恐怖感や緊張によるストレス、そして治療の際に用いられる薬剤やインプラント手術のような外科処置は身体に対してストレスとなり、特に高血圧や糖尿病、心疾患などをお持ちの場合、重大な影響を及ぼす可能性があるのです。

私たち医療従事者は、治療を安全に行わなければなりません。そのため、皆さんのお身体について現在の状態だけではなく、過去からの既往歴を把握することで、リスクを少なくすることが可能となるのです。また服用しているお薬があればその情報から薬品の副作用や、併用から引き起こされるリスクを少なくする事も可能です。

例えば麻酔の場合は、麻酔薬の中には血管収縮薬が入っているので高血圧の方は局所麻酔の注射を受けるだけで血管が収縮され、さらに血圧が高くなる可能性があります。そのため、高血圧の方には血管収縮薬の入っていない麻酔薬や血管収縮薬を倍に薄めた麻酔薬を使用し、モニターをつけて血圧を測定し、血圧の急激な変動がないかを確認しながら治療をする等の注意が必要です。麻酔薬にアレルギーがある方は、再び同じ麻酔薬を使用することで、アレルギー症状が重篤にでる場合があるため、事前にお話いただくことが大切です。


スクリーニングについて

上記で、インプラント治療における禁忌症、適応症、既往歴についてお話をさせていただきました。これらのことを患者さんにお伺いすることを、医療用語では『術前のスクリーニングを行う』といいます。インプラント治療において、この術前のスクリーニングが治療を安全に、そして確実に行う上でとても重要なのです。

スクリーニングとは、「ふるいにかけて条件に合うものを選び出すこと」「選別」を意味します。インプラント治療における術前のスクリーニングとは、インプラント治療を希望される方の全身的状態、精神的状態、口腔内の状態について診査を行い、インプラント手術(麻酔や外科手術)をおこなうことによって得られる利点と欠点を考慮した上で、インプラント治療が可能かどうか、また適切かどうかの判断をします。必要なスクリーニングを確実に行うことが、インプラント手術を成功させるための第一歩であり、最も重要なことなのです。


インプラント治療の利点と欠点

利点と欠点のお話しをする前に、患者さんは何故インプラント治療を望まれるのでしょうか。

  • 絶対に入れ歯をいれたくない
  • 入れ歯を使っていたが、自分には合わない
  • 入れ歯よりもよく噛める
  • 今まであった歯と同じように噛める
  • 見た目がいい
  • 入れ歯が入っていることで会話や笑顔に自信がない
  • 歯に接着するブリッジにすることで残っている歯を削りたくない
  • 入れ歯を使用することで残っている歯に負担をかけたくない
  • このようなことからインプラント治療を希望される方が多いと思います。
  • 私たち歯科医療従事者がインプラント治療の利点を考えた時は、まず第一に、残っている歯を守れるということを挙げます。私たちは歯を1本も失わないために日々の診療を行っています。ですが、残念ながらどうしても歯を残せないケースが少なくありません。その時にはその他の残っている歯を、いかに守っていけるのかを考えます。そう考えた時、ブリッジや入れ歯は歯にかかる負担があまりにも大きいために、インプラント治療を選択する場合が多くあるのです。健康創造型の歯科医療(B03へリンク)を行っている私たちが、8年前にインプラント治療を取り入れたのも、歯を守るための手段だったからです。現在もこの気持ちは少しも変わっていません。
  • これに対しインプラント治療の欠点は以下の点です。
  • 外科の手術が必要なこと
  • 現在の日本では保険適用外のため費用がかかること
  • 治療期間が長期にわたること

この欠点を解決するべく、世界中でさまざまな試みが行われています。手術の負担を軽減するためのフラップレス手術、すぐに噛めるインプラント、安いインプラントどれも患者さんだけでなく私たちにとっても多くのメリットがある方法です。ですが、現時点ではこれらが本当に安全で確実な結果が得られる方法なのだということが充分に実証できているとはいえません。実はまだ証明されていないことが多くあるのに、利点だけがクローズアップされてしまっているように思います。インプラント治療の利点ばかりを強調したり、欠点やリスクのお話しを十分にされないために、インプラント治療があたかも夢のようないい治療に思われている方も多いのではないでしょうか。残念ながら、私たちのような医療従事者の中にも、利点だけを鵜呑みにしてしまっている人達も存在します。

みなさんが、ご自身のお口の健康を考えた時に、インプラント治療に対して正しい知識をもち、ご自身にとって最善の治療を選択できるようにして頂くために、私たちは努力し続けたいと思います。


インプラント治療の準備

インプラント治療も準備があってこそ、きちんとした結果がでます。インプラント治療の準備とは、患者さんの現状を把握する為、できる限りのデータを集めるところから始まります。問診をとったり(身体の状態)、歯型取りやカメラでお口の中を撮影(口腔内の状態)したり、パノラマ・デンタル・CTなどのレントゲン撮影(骨の状態)を行い、患者さんのデータを集めます。これらの資料があって初めて、インプラント体の埋入位置や被せ物の完成予想が立てられるのです。

そして、事前に手術に携わるメンバー全員でミーティングを行います。そこでは、患者さんの情報を手術に参加するメンバー全員が把握し手術に備える為に、患者さんの身体や精神状態や、口腔内の情報を共有しています。 また、手術の前日に顎の模型でインプラント埋入手術のシュミレーションを行い、手術当日に備えます。最後に忘れてはならないのは、感染予防です。当院のブログで何度もでてきているクラスBの滅菌器で手術に使用する器具を滅菌します。

また手術室の隅から隅までの消毒を行い感染予防を行っています。 インプラント治療を安全に行うためには、予め起こりうることを予測し、それに備えることです。そのためには、これらの準備が必要不可欠だと考えています。


手術当日の麻酔について

当院では、インプラント手術に際して2種類の麻酔法を行っています。 1つは、局所麻酔という麻酔法です。これは、手術を行う部分に直接注射をして痛みを感じなくさせる麻酔です。虫歯の治療や歯を抜く際に行う麻酔と同じです。 もう1つは、静脈内鎮静法といって、静脈より点滴を行ってその中にお薬を流していく麻酔です。この麻酔は、患者様の意識を保ちながら、治療に対する不安感や緊張感を和らげ、リラックスして手術を受けて頂くためのものです。リラックスした状態で手術を受けて頂くことで、不安や緊張などによる血圧の急激な変化やショックなどを予防することができます。この麻酔法は、意識を失うことはないので全身麻酔に比べ安全で、手術中、患者様はぐっすりと寝てしまわれることが多く、手術を行ったことを覚えていない方、所々覚えている方など個人差はありますが、みなさんリラックスして手術を受けて頂いております。

当院でインプラント手術を受けた患者様から言われたのですが、手術後半になって徐々に静脈内鎮静法が覚めてきた時、痛くなってしまうのではないかと心配になってしまったそうです。しかし、先ほどお話したように、静脈内鎮静法は痛みを取り去るものではないので手術後半に少しずつ覚めても、局所麻酔を行っているためお痛みがでるわけではありません。また、静脈内鎮静法は、ライセンスをもった歯科麻酔医が担当し、術中はこの麻酔医が患者さんの血圧、心電図、脈などのお身体の状態を常に管理しながら麻酔を行っています。手術が終わる時間に合わせて静脈内鎮静法が覚めてくるように調節しておりますので、どうぞご安心下さい。

このように、インプラント手術では2種類の麻酔法を併用して手術を行っています。それぞれ役割は異なりますが、どちらも患者さんに苦痛なく手術を受けて頂くための麻酔です。皆様安心して手術を受けてください。


手術について

当院では、「2回法」といわれる方法でインプラント手術を行っています。2回法とは、手術を2回行うという意味ですが、1回目の手術では顎の骨の中に直接、インプラント体を埋入します。皆様のお身体の中にインプラント体が直接入るという、インプラント治療においてとても重要な部分がこの手術です。

術式を簡単にご説明すると、歯肉を切開し、ドリルで骨に穴をあけ、インプラント体を埋入し、歯肉を縫合するという流れで行われます。

歯肉の切開は、その手術の良し悪しを左右するとても重要な手術のスタートです。切開の方法、丁寧さによって歯肉の治り方は明らかに違います。手術をした痕跡すら残さない歯肉の治り方は、歯肉の切開の仕方に大きく左右されます。インプラント治療だけでなく、歯肉の中に埋まっている歯を抜く時や、重度な歯周病に対する外科処置の際にも歯肉の切開を行います。治療の目的によって切開の方法は異なりますが、インプラント手術の際は、頬側の歯肉、上顎の裏側の歯肉、歯の噛む面側の歯肉などに切開をいれる方法があります。どのような切開にするかは、インプラントを埋入する場所と、顎の骨の形態、歯肉の状態、被せ物が完成した時の歯肉の審美性などを考慮して切開の位置を決めます。


ドリルについて

インプラント手術で、骨にインプラント体を埋入するための穴をあけるドリルは使い捨てのものを使用しています。はじめに細いドリルを使い、徐々に太いドリルを使って直径を大きくしていきます。はじめから太いものを使用してしまうと骨に摩擦熱が起こり、骨の火傷を引き起こしてしまうからです。ドリルの切れ味が悪くても同じことが起きてしまいます。一度使ったドリルをもう一度使うには、熱を加えて減菌しなければなりません。しかしそうするとドリルの切れ味は鈍ってしまい、骨の火傷を引き起こしてしまうのです。そうなってしまうと、骨とインプラント体がくっつかず、インプラント治療の失敗になってしまいます。そうならないためにも、当院では必ず毎回、安全性が保障されている新品を使い捨てしているのです。


インプラントの身体の埋入

“埋入”とは埋め込むことをいいます。インプラント体を埋入するというのは、インプラント体を顎の骨の中に埋め込むということです。ドリリングで穴を開けたところにインプラント体を埋入します。

埋入する際、インプラント体は直接その穴の中に入っていかなければなりません。穴の中に入る前に、唇や舌や歯肉などに触れてしまってはいけません。なぜなら、インプラント手術とは、皆さんのお体の中にインプラント体を入れるのですから、移植手術のひとつといえるからです。移植するインプラント体に細菌などの余計なものが付着している状態では、体が異物とみなし、うまく骨とくっつかなくなってしまいます。そのため、埋入するときには他のどこにも触れることなくドリリングで開けた穴の中に入らなければならないのです。

言葉で言うと簡単なことのように思いますが、手術中、スタッフ全員が緊張し、慎重になるところです。


インプラントの身体の埋入

縫合とは、切開した歯肉を元通りに戻すことが目的で、手術の傷跡(瘢痕)を可能な限り残さないため、歯肉を切開する前の状態に正確に戻すことが基本です。 インプラント手術の際は、埋入したインプラント体が骨とくっつくまでの間、歯肉の中でしっかりと守る目的があります。そのため、縫合はインプラント体を守るためにとても重要なのです。

縫合をすると手術は終わりますが、非常に細かい作業で、術者の技術に大きく関わっています。そのため、インプラント体の埋入と同じくらい時間がかかる時もあります。

縫合時に使う縫合針の形状は組織に対する侵襲が少ないものを選択します。インプラント手術の際の糸は、第一に感染を起こさないよう、汚れがつきにくいもの、後で緩みを起こしにくいものを準備し、切開の仕方によって最善のものを選択します。

手術後の出血を心配される方がいますが、確実に縫合するため、手術後に帰宅されてから「血が止まらずに困った」という方はいらっしゃらないのでご安心ください。

患者さんは静脈内鎮静法という麻酔をしているため、手術後、麻酔がきちんと覚めるまでお休み頂きます。麻酔の覚醒には個人差があり、手術後すぐに覚める方もいれば、1時間近くお休みになる方もいらっしゃいます。その後、レントゲン撮影をし、埋入したインプラント体の状態を確認します。手術当日は、これですべて終わりです。

手術の翌日は来院していただき、手術をしたところの傷の治りを確認します。感染予防のため、この日から抜糸をするまで消毒薬を使ったうがいを行なって頂きます。手術後、10日~14日後に抜糸を行います。糸をとる前に、糸の表面の消毒のため消毒薬でうがいをして頂き、抜糸をします。


2次手術について

1次手術が終わったらしばらく期間をあけて、2次手術を受けて頂きます。インプラント体と顎の骨が結合するのを待って頂く期間は基本的に上顎で6ヶ月、下顎で3~4ヶ月です。その間は定期的にPMTCを受けて頂く他は、インプラント治療では何もすることはありませんので、他の歯の治療などを行ったりもします。 なぜ上顎と下顎で治癒期間に違いがあるかというと、上顎の方が下顎に比べ骨がやわらかいため、インプラント体と骨との結合に時間がかかるからなのです。

2次手術の時期が近づいたら、手術予定日の1ヶ月程前にレントゲン写真を撮影し、インプラント体に問題が起きていないかを確認します。1次手術と同様、1週間前にはPMTC(クリーニング)を受けて頂き、お口の中の環境を手術のできる状態にします。

では、2次手術では一体何を行うのでしょうか。1次手術では顎の骨にインプラント体を埋入しました。2次手術では、簡単にご説明すると、歯肉を切開しインプラント体の上につけたキャップの交換を行います。1次手術でつけるキャップは薄く、縫合時に歯肉で覆いますが、2次手術の場合は大きめのキャップに付け替えるため、縫合のあと歯肉から見える状態になります。

当院では、1次手術に比べ2次手術は患者さんの負担が少ないため、静脈内鎮静法(点滴)は基本的に行っていません。しかし、どうしても恐怖感が強かったり、不安がある場合に静脈内鎮静法をご希望されれば、行っています。有料にはなりますが、静脈内鎮静法を併用し手術を行うことが可能です。2次手術後は、1次手術後と同じように翌日に消毒を行い、7日~10日程後に抜糸と1回目の型採りを行います。次回より、いよいよインプラント治療の補綴物(被せ物)を作成するための型採りに移っていきます。

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